賃貸の窓の結露対策7選|放置したカビは誰の負担?宅建士が国交省ガイドラインで解説

賃貸の結露対策7選とカビの負担
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賃貸の窓の結露は、「水蒸気を減らす」「窓まわりに湿った空気をためない」「ついた結露はその日のうちに拭く」の3つで対策します。そして、結露を拭く・管理会社に知らせる・記録を残すを続けることが、退去時の負担を分けるポイントだと筆者は考えています。筆者は宅建士(宅地建物取引士)です。この記事では、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版・平成23年8月)」の原文と、メーカーや住宅関連団体の公表資料をもとに、結露対策7つと、カビが出たときの負担の考え方を整理します。

目次

結論:結露対策7つと、負担を分けるポイント

対策やること
1. 換気する換気扇を回し、窓を開けて水蒸気を外に出す。24時間換気は止めない
2. カーテンを開ける窓とカーテンの間に湿った空気をため込まない
3. 湿度を測る温湿度計を置き、加湿しすぎない(目安は40〜50%程度とする団体もある)
4. 水蒸気の出どころを減らす室内干し・調理・入浴のあとは換気扇を回す
5. 暖房の種類を見直す開放型の石油・ガス暖房は水蒸気を出す。エアコンなどを使う
6. 除湿機を使う冬は低温に強い方式を選ぶ
7. 結露を拭き取るワイパーや吸水テープで、その日のうちに水を取る
出典:LIXIL、住宅金融普及協会、パナソニック、大東建託などの公表資料(2026年9月確認)

ガイドラインは、結露は建物の構造上の問題であることが多いとしています。そのうえで、貸主に通知もせず、かつ、拭き取るなどの手入れを怠り、壁等を腐食させた場合は、通常の使用による損耗を超えると判断されることが多いとしています。ただし、ガイドラインに載っている裁判例には、カビが出た後の手入れ不足で借主が一部を負担した例もあります。拭くことと、管理会社に知らせることを両方続けるのが大切です。

なぜ窓に結露ができるのか

結露は、部屋の暖かい空気に含まれる水蒸気が、外気で冷えた窓ガラスに触れて冷やされ、水になる現象です。結露が発生し始める温度を「露点」といい、窓メーカーのYKK APは、20℃・相対湿度60%の空気の露点温度を約12℃と例示しています。つまり「部屋の湿度が高い」「窓が冷たい」の2つが重なると起きます。LIXILも、窓の性能だけで結露を完全に防ぐことはできないとしています。なお、窓に貼る断熱シートなどの対策は、この記事では扱っていません。

賃貸の結露対策7つ

1. 換気する

LIXILは「換気扇を回したり窓を開けたりして、こまめに外に排出しましょう」と案内しています。換気の目安について、パナソニックは「1時間に5分〜10分ほどを2回」が目安と言われていると紹介し、大東建託は入居者向けのFAQで「1日に2〜3回、換気のために3分間ほど」としています。出典によって目安は違いますが、大東建託は部屋や浴室の24時間換気を止めないようにも案内しています。

2. カーテンを開ける

LIXILは、カーテンは断熱には役立つものの水蒸気は通り抜けるため、ガラス側が冷えて湿度の高い空間になると説明し、「カーテンや紙貼り障子をこまめに開ける」ことを勧めています。朝起きたらカーテンを開けて、窓まわりの空気を入れ替えましょう。

3. 湿度を測って、加湿しすぎない

LIXILは「加湿器の使用を控えめにする」ことを、住宅金融普及協会は湿度を40〜50%程度に調整することを勧めています。パナソニックは、加湿器を窓から離して置くよう案内しています。湿度は感覚ではわかりにくいので、温湿度計を1つ置いておくと判断しやすくなります。

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メーカー表示では、湿度の測定範囲は20〜95%RH、精度は40〜70%RHの範囲で±5%RHです。置いても、マグネットで貼っても使えます。

4. 水蒸気の出どころを減らす

  • 室内干し:LIXILは洗濯物をなるべく室内に干さないよう勧めている。干す場合は換気扇を回すか窓を開け、水蒸気を外に出す(住宅金融普及協会)
  • 調理:住宅金融普及協会は、換気扇を調理後も30分程度回すと効果的としている
  • 入浴:同協会は、浴室の換気扇を回すときにドアを少し開けたほうが効果的としている
  • 家具の置き方:大東建託は、家具を壁から3cm以上離して置くよう案内している

5. 暖房の種類を見直す

三菱電機はFAQで「灯油1リットルを燃焼させると、約1リットルの水ができます」と説明し、開放燃焼式の暖房は結露が発生しやすいとしています。住宅金融普及協会も、都市ガスやプロパンガスでも大量の水蒸気が出るとしています。LIXILは、水蒸気が発生しない暖房器(エアコン・電気ストーブなど)を使うことを勧めています。賃貸では、契約書に暖房器具の使用についての定めがないかも確認してください。

6. 除湿機を使う:冬は方式に注意

除湿機には、主に3つの方式があります。仕組みはパナソニック、特徴はシャープの説明をもとにまとめると、次のとおりです。

方式特徴(メーカーの説明)冬の結露対策では
コンプレッサー式空気を冷やして水にする。室温が下がると除湿能力も低下する寒い部屋では能力が落ちる。使用できる温度の下限を確認する
デシカント式乾燥剤で水分を吸着し、ヒーターで取り出す。消費電力と排熱が大きいが、室温が下がっても除湿量の低下が少ない低温でも使いやすい。電気代は高め
ハイブリッド式気温に合わせて2つの方式を切り替える。両方の良い点を持つが、大きく重くなる季節を問わず使いたい人向け

公式の仕様から、いくつかの例を挙げます。三菱電機のコンプレッサー式MJ-M120ZXは、使用可能温度が7℃〜40℃です。コロナのコンプレッサー式CD-H1026は、室温が10℃を下回るとヒーターを併用して除湿する冬モードを備えています。パナソニックのハイブリッド式F-YEX90Dは、定格の除湿能力が1日7.8L(50Hz)/8.5L(60Hz)です(取り扱い店が限られる商品)。カタログの除湿能力は室温27℃・湿度60%などの条件での値なので、冬の寒い部屋では(特にコンプレッサー式は)同じ能力は出ないと考えてください。型番は毎年変わることが多いので、購入前に各社の最新の仕様を確認してください。

7. 結露を拭き取る:その日のうちに

住宅金融普及協会は、スクイージーや窓用ワイパーを使うと結露を取りやすいとし、サッシやゴムパッキンの水滴も念入りに拭き取るよう案内しています。大東建託も「窓についた結露水はこまめに拭き取ってください」としています。

  • 結露取りワイパー:山崎産業の結露取りワイパーSは、集めた水をためるボトル付きのワイパー。メーカーは「カビの原因になる窓の結露を素早くキャッチします」としている
  • 結露吸水テープ:ニトムズの強力結露吸水テープは、窓の下に貼って流れ落ちる水を吸うテープ。メーカー表示で吸水量は1mあたり約130g、凹凸ガラスにも対応

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吸水テープのように窓に貼るものは、はがしたあとに跡が残らないかにも注意してください。ガイドラインの事例26では、窓に貼ったカビ防止シールをはがす費用(1,050円)を借主も認めて負担しています。貼る前に管理会社に確認し、退去前にははがしておくと安心です。価格や在庫は変動するため、各商品ページでご確認ください。

結露でカビが出たら誰の負担?ガイドラインの原文で確認

国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」は、「結露を放置したことにより拡大したカビ、シミ」を区分A(+B)に置いています(別表1、18ページ/PDFでは22ページ目)。A(+B)は、基本は通常の損耗でも、その後の手入れなど借主の管理が悪く発生・拡大した分は借主の負担とする区分です。考え方の欄には、次のように書かれています。

結露は建物の構造上の問題であることが多いが、賃借人が結露が発生しているにもかかわらず、賃貸人に通知もせず、かつ、拭き取るなどの手入れを怠り、壁等を腐食させた場合には、通常の使用による損耗を超えると判断されることが多いと考えられる。

国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」別表1(18ページ/PDFでは22ページ目)

この一文は、借主の負担になりやすい場合の例です。これに当てはまらなければ負担にならない、という意味ではありません。ガイドラインのQ&A(Q10)は、結露を放置するなどによりシミ等を発生させた場合も、借主は善管注意義務に違反して損害を発生させたことになると考えられるとしています。管理会社に知らせていても、拭かずに放置すれば負担になりうる、というのが筆者の読みです。

また、Q10は、物件や設備が壊れて修繕が必要になった場合は、借主は貸主に通知する必要があるとしています。民法第615条も、借りている物が修繕を必要とするときなどは、借主が遅滞なく貸主に通知しなければならないと定めています。なお、同じ要件は、契約書に添付する様式として示された修繕分担表(別表3)にも載っています。

ガイドラインに載っている裁判例

事例判断の要点借主の負担
事例1(名古屋地裁 平成2年)結露は一般に建物の構造によって発生するため、特別の事情がない限り結露による汚損を借主の責任にはできない—(結露による汚損は借主の責任にできないとした)
事例23(枚方簡裁 平成17年)カビの主な原因は結露で、結露は建物の構造上の問題。借主は結露に気づくたびに拭いていたため、過失はないなし
事例9(横浜地裁 平成8年)カビが発生した後の手入れにも問題があったカビの汚れについて2割程度
事例26(川口簡裁 平成19年)カビは部屋の管理と発生後の手入れに問題があった結果でもある。ただしクロスは経過年数を考慮クロス(壁紙)は経過年数を考慮して負担なし。天井の張替え・クロスの下地・窓枠などは各20%。窓のカビ防止シールをはがす費用1,050円は借主も認めていた
出典:国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」の裁判例(2026年9月確認)

4つの事例からは、「結露に気づいたら拭く」を続けていた借主は負担なし、発生後の手入れに問題があった借主は一部負担、という傾向が読み取れます(筆者の読み)。また、ガイドラインは本文(12ページ)で、借主の負担になる場合でも修繕費用の全額を借主が当然に負担することにはならないとし、クロス(壁紙)は6年で残存価値1円になるような考え方で負担割合を計算するとしています(別表2)。民法第621条も、通常の使用によって生じた損耗や経年変化を、借主の原状回復義務から除いています。

一方で、管理会社によっては、結露やカビを放置した場合の修理費用を全額入居者負担と案内しているところもあります。ガイドラインに法的な拘束力はなく、契約書の特約の内容も影響するので、入居時の契約書と管理会社の案内の両方を確認してください。

カビが出たとき・窓や建物が原因のとき

  • カビが出たら:自己判断で強い薬剤を使ってこする前に、日付入りで写真を撮り、管理会社に連絡して対応を相談する(筆者の考え)
  • 窓や建物に原因があるとき:窓ガラスやサッシは建物の設備なので、貸主の承諾なしに交換や工事はできないのが一般的。民法第606条は、貸主が使用に必要な修繕をする義務を負うと定めているが、結露対策の工事が修繕の対象になるかは個別の判断になる。まずは管理会社に状況を伝える

借主がやっておきたい3つのこと

  1. 拭く:結露に気づいたら、その日のうちに拭き取る
  2. 知らせる:拭いても毎日ひどい、カビが出てきた、という場合は管理会社に連絡する。メールやアプリなど、日付の残る方法がおすすめ(筆者の考え)
  3. 記録する:結露やカビの様子を日付入りで写真に残す。退去時の話し合いの材料になる

宅建士の目線で言うと、結露の負担で差がつくのは「対策の道具」より「拭いた・知らせた」という行動と、その記録です。ガイドラインの事例23のように、拭いていたことが認められれば、借主に過失はないとされた例もあります。対策と連絡をセットで続けてください。(筆者の個人的な見解です)

賃貸の結露対策に関するよくある質問

Q. 結露でカビが出たら、退去時に必ず借主の負担になりますか?

A. 必ずではありません。国土交通省のガイドラインは、結露は建物の構造上の問題であることが多いとしています。そのうえで、貸主に通知もせず、かつ、拭き取るなどの手入れを怠り、壁等を腐食させた場合は通常の使用による損耗を超えると判断されることが多いとしています。ガイドラインの裁判例には、カビが出た後の手入れ不足で借主が一部を負担した例もあります。気づいたら拭き、ひどいときは管理会社に知らせることが大切です。契約書の特約も確認してください。

Q. 冬の結露対策に除湿機は効果がありますか?

A. 部屋の湿度を下げる方法の1つになります。ただし、コンプレッサー式は室温が下がると除湿能力も低下するとメーカーが説明しているため、寒い部屋ではデシカント式やハイブリッド式が向いています。デシカント式は消費電力が大きい点にも注意してください。

Q. 換気はどのくらいすればいいですか?

A. 目安は出典によって違います。パナソニックは「1時間に5分〜10分ほどを2回」が目安と言われていると紹介し、大東建託は1日に2〜3回、3分間ほどとしています。24時間換気がある部屋では、止めずに使い続けることも大切です。

Q. 管理会社にはいつ連絡すればいいですか?

A. 拭いても結露が毎日ひどい、カビが出てきた、窓まわりが傷んできた、というときは早めに連絡してください。民法第615条は、修繕が必要なときなどは借主が遅滞なく貸主に通知しなければならないと定めています。日付の残る方法で連絡し、写真も残しておくと安心です。

まとめ:拭く・知らせる・記録するを、対策とセットで

  • 結露は「湿度が高い」「窓が冷たい」が重なって起きる。換気・カーテン・湿度の管理・水蒸気の出どころ・暖房の種類・除湿機・拭き取りの7つで対策する
  • 冬の除湿機は方式に注意。コンプレッサー式は低温で能力が落ちる
  • ガイドラインは、通知もせず、かつ、拭き取るなどの手入れを怠り、壁等を腐食させた場合を、借主の負担になりやすい例に挙げている。発生後の手入れ不足で一部負担とされた裁判例もあるので、拭く・知らせる・記録するを続ける

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賃貸の原状回復の考え方は、賃貸の床の傷は誰の負担?の記事や、壁に穴を開けない家具転倒防止の記事でも解説しています。


この記事を書いている人

AIで小さな事業をつくり、仕組みに渡す実験記録。
AI・コード・自動化を使って小さな事業や収益装置を実際につくり、試した結果・失敗・かかった時間まで記録しています。

賃貸の結露対策7選とカビの負担

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この記事を書いた人

AI・コード・自動化を使って、小さな事業や収益装置を実際につくっています。作ったもの、試した結果、うまくいかなかったこと、かかった時間をそのまま記録しています。宅地建物取引士/キャリアコンサルタント。

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