賃貸でもできる台風の窓対策7選|宅建士が原状回復の範囲で解説

賃貸でもできる台風の窓対策7選|宅建士が原状回復の範囲で解説
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令和元年の房総半島台風では、千葉市で最大瞬間風速57.5m/s(観測史上1位)を記録し、住家被害は全国で全壊391棟・半壊/一部損壊76,483棟にのぼりました(内閣府 防災白書)。首都圏でも、窓を守る備えは他人事ではありません。ただ、賃貸暮らしには特有の悩みがあります——「対策したいけど、跡が残ったら退去時が怖い」

筆者は宅地建物取引士(宅建士)として、住まいとお金の情報を発信しています。この記事では、賃貸でできる台風の窓対策7つを「跡が残らない順」に並べ、SNSで広まった「養生テープの米印貼り」の効果をメーカーの一次情報で正確に確認し、テープ跡・フィルム跡の原状回復の考え方まで整理します。怖がらせるためではなく、今日から順番にやれば良いことを決めるための記事です。

目次

結論早見表:賃貸の窓対策は「跡が残らない順」にやる

対策期待できる範囲跡のリスク
①ベランダ・窓周りの片付け飛来物そのものを減らす(最優先)なし
②雨戸・シャッターを閉めて施錠飛来物の直撃に備えるなし
③カーテン・ブラインドを閉め窓から離れる割れた場合の破片・飛び込みに備えるなし
④段ボール・プラダンの内側養生破片の飛散を抑える(応急)固定場所しだい
⑤テープの全面貼り(通過後すぐ剥がす)飛散を多少抑える可能性(簡易・限定的)糊残りに注意
⑥飛散防止フィルム(事前対策)割れた破片の飛散を抑える剥がし方の確認を
⑦窓・ガラス自体の強化建物側での改善(大家・管理会社に相談する領域)

共通の前提をひとつ。どの対策も「ガラスを割れなくする」ものではありません。公的機関やメーカーが対策の目的として挙げているのは、一貫して「飛散への備え」です。だからこそ、割れる原因そのものを減らす①が最優先になります。

窓が割れる主因は「飛来物」——だから片付けが最優先

国土交通省の検討会資料(房総半島台風の被害調査)では、屋根被害の原因として飛来物による破損が多数発生していたことが報告されています(瓦屋根の被害統計であり窓の統計ではありませんが、飛来物が建物被害の主要因のひとつであることを示す公的データです)。また気象庁の風速階級表では、平均風速20〜25m/sで「飛来物によって負傷するおそれがある」とされ、瞬間風速は平均の1.5倍程度になることが多いとされています。

つまり、窓を守る第一歩は窓に何かを貼ることではなく、飛んでくる物・飛ばす物を減らすこと。そして忘れてはいけないのが、自分のベランダの物干し竿やプランターが飛べば、自分が加害側になりうるということです。他人の窓や車を傷つければ、賠償の話に発展しかねません。

賃貸でもできる台風の窓対策7選

①ベランダ・窓周りの片付け(無料・最優先)

気象庁は台風の備えとして「風で飛ばされそうな物は飛ばないよう固定したり、家の中へ格納する」ことを挙げています(気象庁「台風や集中豪雨から身を守るために」)。物干し竿・ハンガー・プランター・サンダル・すのこは室内へ。物干し竿を「下ろして床に置く」だけでも転がるので、できれば室内が確実です。

②雨戸・シャッターを閉めて、しっかり施錠(無料)

雨戸・シャッター付きの部屋なら、まず閉める。気象庁は「窓や雨戸はしっかりとカギをかけ、必要に応じて補強する」としています。サッシの鍵(クレセント錠)を掛けると窓の密閉性が上がり、ガタつきも減ります。地味ですが施錠まで含めてワンセットです。

③カーテン・ブラインドを閉めて、窓から離れる(無料)

気象庁は「万一の飛来物の飛び込みに備えてカーテンやブラインドをおろしておく」ことも挙げています。割れることを前提に、割れたときの被害を小さくする発想です。台風のピーク時間帯は窓のそばで過ごさない・寝ない。これも費用ゼロで今日決められます。

④段ボール・プラダンの「内側」養生(応急)

警視庁は、段ボールやカーテンで行う内側からの飛散防止を「あくまで急遽の措置」と位置づけています(警視庁「とっておきのガラス飛散防止方法」)。また、窓サッシ大手のYKK APがJIS R 3109に準拠して行った検証でも、段ボール(4mm厚×4枚)と養生テープの増し貼りを併用した場合に飛散の低減が確認されています(条件: 単板4mmガラスに約2kgの木材を秒速12.2mで衝突)。ホームセンターで1枚数百円のプラダン(910×1820mm)なら濡れても使え、収納時は畳めます。固定のテープはガラス面と金属サッシに限定——壁紙や化粧枠に貼ると剥離の原因になります(ここは宅建士としての注意点です)。

⑤テープを貼るなら「全面+通過後すぐ剥がす」(簡易対策)

テープの効果の正確な話は次の章に譲るとして、貼るなら米印ではなく段ボール等と併用して面で覆う使い方が、メーカーの説明と整合します。定番の養生テープはダイヤテックスのパイオラン(緑)。メーカー公表仕様はポリエチレンクロス基材・手で切れて糊残りが少ない(ただし貼りっぱなしは糊残りの要因になるとメーカー自身が注意しています)。▶ パイオラン養生テープ(緑・50mm×25m)をAmazonで見る

同じダイヤテックスからは、飛散「抑止」用に設計された台風防災テープも出ています。粘着が強いぶん飛散抑止側に振った製品ですが、メーカーは「粘着力が強い方が糊残りのリスクは高まる」「台風が過ぎたら都度剥がす」ことも公表しています。賃貸では貼りっぱなし厳禁とセットで使う商品です。▶ パイオラン台風防災テープ(クリア)をAmazonで見る

⑥飛散防止フィルム(事前対策の本命)

気象庁・警視庁がそろって事前対策として挙げるのが飛散防止フィルムです。ニトムズのガラス飛散防止シート(広幅96cm・平滑ガラス用)は石けん水を吹き付けて貼る水貼りタイプで、何よりメーカーが剥がし方を公式FAQで公表しているのが賃貸向きです(短冊状に切る→糊を湿らせて緩める→ゆっくり剥がす、の手順)。凹凸ガラスには同シリーズの凹凸面用を。効果は「割れた破片の飛散を抑える」ことで、割れ自体を防ぐものではありません。▶ ニトムズ ガラス飛散防止シート(広幅96cm)をAmazonで見る

⑦窓・ガラス自体の強化は、大家・管理会社に相談する領域

板硝子協会によると、一般的なガラスは割れると約50〜60%が破片として飛散するのに対し、防災安全合わせガラスでは約1%とされています。ただしガラスや窓そのものの交換は建物側の設備の話で、借主が勝手にやってはいけない領域です。施工店で貼る本格的なウインドウフィルム(JIS A 5759適合品など)も長期貼付前提で跡のリスクが上がるため、やりたい場合は貸主・管理会社への相談から。「窓が古くてガタつく」という相談自体が、修繕のきっかけになることもあります。

「米印貼り」の本当の効果——メーカーの一次情報で確認する

SNSで定番になった「窓に養生テープを米印に貼る」対策。窓サッシ大手のYKK APは公式FAQで、養生テープのみを貼ることについて「ガラスを割れないようにしたり、割れたガラスが飛び散ることを防いだりする効果は、当社では確認できておりません」と回答しています(YKK AP公式FAQ)。養生テープメーカーのダイヤテックス自身も、自社試験で粘着の強い台風防災テープを貼った場合に割れたガラス片が小さく少なくなる結果を示しつつ、「テープだけで防げるものではありません」「あくまで簡易対策」と位置づけています。

整理するとこうなります。①割れにくくなる効果は期待しない ②飛散を多少抑える可能性はあるが、テープ単体・米印だけでは限定的 ③やるなら段ボール等との併用で面を覆う ④台風が過ぎたらすぐ剥がす(貼りっぱなしは糊残りの要因、とメーカーが明言しています)。「米印を貼ったから安心」がいちばん危ない使い方です。

宅建士が解説:テープ跡・フィルム跡と原状回復

国土交通省の原状回復ガイドラインは、賃借人の故意・過失や通常の使用を超える使用による損耗は借主負担、通常の使用による損耗は貸主負担という考え方を示しています。台風対策のテープ跡そのものを定めた項目はなく、糊残りや変色の程度・原因によって個別に判断されるのが実務です。リスクを下げる行動は3つ——①貼る前にスマホで窓の現状を撮る ②通過後すぐ剥がす(メーカーの案内どおり) ③長期貼付するフィルムは事前に管理会社へ一報。特に③は、連絡ひとつで退去時の争点を大きく減らせます。

もし窓が割れたら:連絡と記録の手順

順番はこうです。①安全確保(素足で近づかない・カーテン越しに状況確認)→②写真で記録(割れた窓・飛来物・室内の被害)→③管理会社・大家へ連絡④応急養生(段ボール+テープで穴を塞ぐ)。台風など自然災害によるガラス破損の修繕は建物設備として貸主側で対応されるのが一般的ですが、契約内容や原因(例えば自室ベランダの私物が原因の場合)によって扱いは変わります。加入している火災保険・借家人賠償の補償範囲も契約によるので、保険証券の確認と保険会社への連絡も忘れずに。

賃貸の台風対策に関するよくある質問

Q. 飛散防止フィルムは貼りっぱなしでいいですか?

A. フィルムは長期貼付が前提の製品ですが、板硝子協会は経年劣化により透明性や飛散防止効果が低下するため定期的な貼り替えが必要としています。賃貸では、退去前に剥がす時間を見込んでおくことと、メーカーが剥がし方を公表している製品を選ぶことをおすすめします。心配なら貼る前に管理会社へ一報を。

Q. 養生テープはいつ剥がせばいいですか?

A. 台風が過ぎたら、その都度すぐ剥がすのがメーカー(ダイヤテックス)の案内です。テープは紫外線などで劣化しやすく、貼りっぱなしは糊残りの要因になるとされています。「次の台風までそのまま」が、賃貸ではいちばん跡を残しやすいパターンです。

Q. 段ボールは窓の外側に貼るべきですか?

A. 風が強まってからの屋外作業はそれ自体が危険です。警視庁が案内する段ボール・カーテンでの措置も室内側からの応急対応で、外側の対策(雨戸を閉める・ベランダの片付け)は風が強まる前に済ませるのが原則です。迷ったら「外は早めに、直前は内側だけ」と覚えてください。

Q. 窓が割れたら修理代は自分持ちですか?

A. 台風など自然災害が原因のガラス破損は、建物設備の修繕として貸主側で対応されるのが一般的です。ただし、自室ベランダの私物が原因の場合など、借主の管理に問題があったと評価されるケースでは扱いが変わりえます。まず管理会社に連絡し、あわせて自分の火災保険(借家人賠償・家財補償)の範囲を確認してください。個別のトラブルは消費生活センター等の相談窓口も利用できます。

まとめ:無料の3つを今日、貼り物は「剥がす日」までセットで

  • 最優先はベランダの片付け・雨戸・カーテンの無料3点。窓を割る主因の飛来物を減らし、割れたときの被害も減らす
  • 米印貼りに「割れ防止」は期待しない。YKK APは効果を確認できていないと公表。やるなら段ボール併用の面カバー+通過後すぐ剥がす
  • 事前対策の本命は飛散防止フィルム。賃貸は「剥がし方を公表している製品」を選び、長期貼付は管理会社へ一報
  • 貼る前に窓の現状を写真で記録。跡の争いを防ぐ一番安い保険

室内の備えもセットでどうぞ。地震向けですが考え方は共通です——壁に穴を開けない家具転倒防止5選。原状回復の負担区分をもっと詳しく知りたい方は床の傷は誰の負担?チェアマット対策で解説しています。台風情報は気象庁の最新発表で確認を。


この記事を書いている人

AIで小さな事業をつくり、仕組みに渡す実験記録。
AI・コード・自動化を使って小さな事業や収益装置を実際につくり、試した結果・失敗・かかった時間まで記録しています。

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AI・コード・自動化を使って、小さな事業や収益装置を実際につくっています。作ったもの、試した結果、うまくいかなかったこと、かかった時間をそのまま記録しています。宅地建物取引士/キャリアコンサルタント。

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