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キャリアコンサルタント論述試験の対策は、受ける団体の形式を知り、設問ごとの「型」で書き、公式の過去問を50分で通して練習する——この3つに尽きます。筆者は国家資格キャリアコンサルタントで、講座は運営していません。この記事では、試験を実施する2団体(キャリアコンサルティング協議会〔以下、協議会〕・日本キャリア開発協会〔JCDA〕)の公表資料をもとに整理します。扱うのは、形式の違い、設問別の書き出しの型と自己採点の基準、試験日から逆算した2週間の手順です。
結論:形式を知り、設問別の型で書き、50分で通し練習する
- 形式を知る:協議会は「事例記録・4問」、JCDAは「逐語記録・3問(2つの対応の比較と指定語句5つ)」。受ける団体の形式に合わせて練習する
- 型で書く:「相談者の問題と根拠」→「今後の支援方針」は両団体に共通。問題・根拠・方針を一本の線でつなぐ
- 通し練習する:両団体が公式サイトで公開している過去3回分の問題を、時間配分を決めて50分で解く
第33回の日程(2026年9月時点・両団体の公式サイト)
- 学科・論述:2026年11月1日(日)。学科が午前、論述が午後(協議会の案内では論述は14時30分〜15時20分の50分)
- 面接:協議会は11月7日から、JCDAは11月7日・8日・14日・15日のうち指定された1日
- 合格発表:2026年12月16日(予定)。受験申請の受付はすでに終了
配点と合格基準:論述は50点満点、足切りは20点
実技試験は、論述50点+面接100点の150点満点で、90点以上が合格です。そのうえで、次の2つの足切りがあります(両団体の公表資料)。
- 論述:満点の40%以上(20点以上)
- 面接:評価区分ごとに満点の40%以上。区分は協議会が「態度」「展開」「自己評価」、JCDAが「主訴・問題の把握」「具体的展開」「傾聴」
| 第30〜32回の実績 | 協議会 | JCDA |
|---|---|---|
| 実技の合格率 | 63.0%・63.8%・60.3% | 68.2%・67.8%・66.5% |
| 論述の平均点(50点満点) | 31.9点・32.7点・32.2点 | 32.8点・32.0点・32.9点 |
| 面接の平均点(100点満点) | 60.3点・59.6点・59.3点 | 61.0点・61.4点・61.3点 |
論述の平均点はおよそ32点です。たとえば論述で30点なら、面接で60点取れば合計90点に届きます(筆者の計算。面接の評価区分ごとの足切りも満たす必要があります)。論述は面接の負担を軽くするための「貯金」と考えると、目標を立てやすくなります。
2団体で論述の形式が違う
学科試験は2団体共通ですが、論述は団体ごとに形式が違います。第30〜32回の公開問題で、各団体の形式が3回とも同じであることを確認しました(2026年9月時点)。
| 項目 | キャリアコンサルティング協議会 | 日本キャリア開発協会(JCDA) |
|---|---|---|
| 読む資料 | 事例記録(相談者の話を中心にまとめた記録。キャリアコンサルタントの発言はカッコ書き) | 逐語記録(相談者とキャリアコンサルタントの発言を番号付きで記録)。共通の前半のあと、展開の違う後半A・後半Bが並ぶ |
| 設問の流れ | ①相談の概要(伏せられた部分)②下線部の応答の意図 ③相談者の問題と根拠 ④今後の支援方針 | ①後半Aと後半Bの対応の違い(指定語句5つをすべて使い、下線を引く)②相談者の問題と根拠 ③今後の支援方針 |
| 配点 | 設問ごとの配点は非公表 | ①15点・②20点(10点×2)・③15点 |
| 解答欄の目安 | ①②各2行程度、③計5行程度、④5〜6行程度 | ①6行程度、②計5行程度、③6行程度 |
解答用紙は罫線の行に書く形式で、字数の指定はありません。行の外や裏面に書いた部分は採点されないと、両団体とも案内しています。形式は回によって変わる可能性もあるので、本番では問題用紙の指示を最優先してください。
設問別の書き出しの型
両団体とも、公式サイトでは模範解答を公表していません。以下は、公開されている設問の問い方から筆者が作った書き出しの型です。〇〇や△△の部分を、資料の中の言葉で埋めて使います。
協議会の4問
| 設問 | 何を書くか | 書き出しの型(筆者作) |
|---|---|---|
| 設問1 相談の概要 | 相談者が「この面談で何を相談したいか」。自分の見立ては入れない | 「〇〇について△△したいが、□□で迷っており、どうすればよいか相談したい。」 |
| 設問2 応答の意図 | 下線部の応答が「何のために」されたか。応答の中身の要約で終わらせない | 応答のタイプに合わせて選ぶ。「相談者の□□という気持ちを受け止め、〇〇についてさらに語ってもらうため。」/「〇〇という思い込みに、相談者自身が気づけるようにするため。」/「〇〇と△△のつながりを、相談者に意識してもらうため。」 |
| 設問3 問題と根拠 | ①キャリアコンサルタントから見た相談者の問題(本人がまだ気づいていないこと)②その根拠になる相談者の言動 | ①「〇〇について十分に理解しないまま、△△と判断しようとしていること。」②「『〜』という発言から、……がうかがえる。」 |
| 設問4 今後の方針 | 設問3の問題に1対1で対応させて、面談で何をするか | 「まず〇〇を一緒に確認し、そのうえで相談者が△△できるよう支援する。」 |
JCDAの3問
| 問い | 何を書くか | 書き出しの型(筆者作) |
|---|---|---|
| 問い1 後半AとBの違い(15点) | AとBで、キャリアコンサルタントの関わり方がどう違い、相談者の反応がどう変わったか。指定語句5つはすべて使い、下線を引く | 「後半Aでは、キャリアコンサルタントが〇〇したため、相談者は△△。一方、後半Bでは□□したため、相談者は……。」 |
| 問い2 問題と根拠(20点) | 協議会の設問3と同じ考え方 | 協議会の設問3と同じ型 |
| 問い3 今後の方針(15点) | 問い2の問題に対応させて、相談者の成長に向けた支援 | 協議会の設問4と同じ型 |
自作の短い例
以下は、この記事のために作った架空の例です(実際の試験問題ではありません)。
架空の相談:20代後半の総務職。「本社の企画部門への異動を打診されたが、自分に向いていない気がして断ろうと思う」と話す。話の中で「企画の仕事は具体的にはよく分からない」「前の上司に、企画は向いていないと言われた」という発言が出てくる。
- 問題(例):異動先の仕事内容を十分に理解しないまま、過去に言われた一言をもとに「向いていない」と判断しようとしていること
- 根拠(例):「企画の仕事は具体的にはよく分からない」「前の上司に、企画は向いていないと言われた」という発言から、判断の材料が限られていることがうかがえる
- 方針(例):まず異動先の仕事内容を一緒に確認し、これまでの総務の経験で生かせる強みを振り返ったうえで、相談者が自分で判断できるよう支援する
JCDAの問い1の書き方も、同じ架空の相談で示します。指定語句(自作)を「受容」「質問」「感情」「自己理解」「主体性」の5つとした場合の例です。
「後半Aでは、キャリアコンサルタントが異動先の情報を先に示して助言したため、相談者は受け身のまま話を聞いている。一方、後半Bでは、不安な感情をまず受容し、『向いていない』と感じた理由を質問で掘り下げたため、相談者は自分の経験を語り始め、自己理解が進んで主体性のある発言が出ている。」
ポイントは、問題・根拠・方針が一本の線でつながっていることです。問題に「仕事内容を理解していない」と書いたなら、方針には「仕事内容を一緒に確認する」が入ります。
書いたら確認する5項目(自己採点用)
- 設問が聞いていることに答えているか(意図を聞かれて、内容の要約で終わっていないか)
- 根拠は、資料の中の相談者の言葉や行動から引いているか
- 問題と方針が1対1で対応しているか
- 相談者の人柄を決めつける書き方(「〜な性格だ」など)になっていないか
- 行の外に書いていないか。JCDAなら、指定語句5つをすべて使って下線を引いたか
この5項目は筆者の整理で、公式の採点基準ではありません。模範解答がない以上、自分の答案を毎回同じ物差しで見直すことが上達の近道だと筆者は考えています。
50分の時間配分(目安)
公式に決められた配分はありません。以下は、配点と解答欄の行数の目安に合わせて筆者が組んだ配分です。最初に資料を読み切り、書き始めてから読み返す時間を減らすのがコツです。
| 段階 | 協議会(4問) | JCDA(3問) |
|---|---|---|
| 資料を読み、線を引く | 15分 | 15分(前半と後半A・Bを読み比べる) |
| 前半の設問 | 設問1・2で8分(解答欄が各2行程度と短い) | 問い1で11分(15点・6行程度) |
| 問題と根拠 | 設問3で12分 | 問い2で11分(20点・計5行程度) |
| 今後の方針 | 設問4で12分 | 問い3で10分(15点・6行程度) |
| 見直し | 3分 | 3分(指定語句5つと下線を確認) |
試験日から逆算した2週間の手順
試験前の2週間の例です(第33回なら10月18日〜31日)。それより前に始められるなら、同じ手順を長く取ってください。学科も受ける人は、毎日の練習を「論述1回分(約1時間)+学科」に分けると両立しやすくなります(筆者の目安)。
| 期間 | やること |
|---|---|
| 1〜2日目 | 受ける団体の公式サイト(協議会・JCDA)から、公開されている過去3回分の論述問題を入手。1回分を50分で解き、形式と時間の感覚をつかむ |
| 3〜9日目 | 1日1回分(全設問)。書き出しの型で書き、5項目で自己採点する。過去問を使い切ったら市販の問題集へ |
| 10〜13日目 | 本番と同じ50分で通し練習を2〜3回。時間配分表どおりに進んだかを記録する |
| 14日目(試験前日) | 型と5項目の見直し、持ち物の準備。論述の筆記具は黒の鉛筆・シャープペンシルのみで、フリクションペンなどで書いた解答用紙は採点されないと協議会は案内している |
当日は午前が学科、午後が論述です。昼休みに書き出しの型と5項目を見直しておくと、午後の立ち上がりが楽になります。面接は翌週以降なので、論述の練習と並行してロールプレイの練習時間も確保しておきましょう。
教材:過去問は公式サイト、足りない分を市販書で
両団体とも、過去3回分の論述問題を公式サイトで公開しています(公式サイトに解答例はなし)。まずはそれを使い切り、問題の数や解説が足りない分を市販の問題集で補うのがおすすめです。書名は2026年9月時点のものです。
| 受ける団体 | まずこの1冊(筆者の選び方) | ほかの選択肢 |
|---|---|---|
| 協議会 | 日本法令『[協議会試験版]国家資格キャリアコンサルタント 論述試験にサクッと合格する本』。協議会の論述に特化し、模擬問題15題(2024年12月刊) | キャリアデザイン出版 編『2026年版 国家資格キャリアコンサルタント実技試験(論述・面接)テキスト&問題集(キャリアコンサルティング協議会)本試験準拠』。設問1〜4の解き方と演習問題4題 |
| JCDA | キャリアデザイン出版 編『2026年版 JCDA論述試験新形式完全対応 国家資格キャリアコンサルタント実技試験(論述・面接)超短期合格集中ゼミ』。問い1〜3の解き方と模擬問題3題 | JCDA公式の学習ガイドブック(過去問題と解説、「経験代謝」の章。JCDAのサイトで販売) |
| 両団体・面接も一緒に | 秀和システム新社『国家資格キャリアコンサルタント 実技試験(面接・論述)実践テキスト 2026年版』。論述の章で両団体の設問の枠組みと練習問題を扱う | — |
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▼JCDAで受ける人
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・JCDA公式の学習ガイドブックはJCDAのサイトで販売されています
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価格や在庫は変動するため、各商品ページでご確認ください。
国家資格キャリアコンサルタントとして言えるのは、論述は「相談者の話を、どれだけ筋道立てて受け止められるか」を紙の上で示す試験だということです。問題・根拠・方針を一本の線でつなぐ練習は、そのまま面接のロールプレイにも生きます。筆者が働きながら資格の勉強をした工夫は社会人の資格勉強グッズ8選にまとめています。(筆者の個人的な見解です)
キャリアコンサルタント論述試験に関するよくある質問
Q. 論述だけ合格することはできますか?
A. できません。実技試験は論述と面接の両方を受ける必要があり、両方の合計(150点満点で90点以上)で合否が判定されます。論述には満点の40%以上、面接には評価区分ごとに満点の40%以上という基準もあります。論述が20点に届かないと、面接の点数にかかわらず実技は不合格になります。
Q. 過去問の模範解答はありますか?
A. 両団体とも、論述の過去問(過去3回分)を公式サイトで公開していますが、公式サイト上では模範解答や解答例を公表していません。なお、JCDA公式の学習ガイドブックには、過去問題の解説が収録されています。自分の答案は、この記事の5項目などの同じ物差しで毎回見直すのがおすすめです。
Q. 学科と実技で別の団体を受けられますか?
A. 学科試験は両団体共通で、学科と実技を別の団体で受けることもできます。ただし、協議会は両団体で学科・論述の試験会場が異なる場合があると案内しています。会場と時刻は受験票で確認してください。
Q. 論述の筆記具は何を使えばいいですか?
A. 協議会は、論述の解答は黒の鉛筆またはシャープペンシルで書くよう案内しており、フリクションペンなどで書いた解答用紙は採点されないとしています。JCDAの公開問題の表紙にも、筆記用具は鉛筆またはシャープペンシルと消しゴムと記載されています。受験票や受験案内の指示もあわせて確認してください。
まとめ:形式を知り、型で書き、公式過去問で通す
- 論述は50点満点・足切り20点。実技は論述+面接の150点中90点で合格(面接にも評価区分ごとの足切りあり)。論述の平均点は約32点(第30〜32回)
- 協議会は事例記録・4問、JCDAは逐語記録・3問(後半AとBの比較・指定語句5つ)。書き出しの型で書き、問題・根拠・方針を一本の線でつなぎ、5項目で自己採点する
- 公式サイトの過去3回分を使い切り、試験前の2週間は1日1回分→50分の通し練習の順で仕上げる
試験の日程と合格発表は、キャリアコンサルティング協議会と日本キャリア開発協会の公式サイトで確認できます。健闘を祈ります。


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