僕はいま、1つの実験記録から、ブログ・note・X・YouTube向けのコンテンツをAIに作らせる仕組みを動かしています。この記事では、その仕組みを7日間動かした実測の記録を書きます。
先に白状すると、この7日間でX投稿は0本、YouTube公開も0本です。動画は14本完成しているのに、です。
それでも「失敗だった」とは思っていません。むしろ、量産が簡単になった結果、本当のボトルネックが「書くこと」ではなく「出せないものを止めること」に移った——これがこの記事でいちばん伝えたい発見です。
下書きのはずの連載10話が、レビュー前に公開されてしまった事故の話も、そのまま書きます。
なお、この記事自体がこの仕組みから出てきた1本です。末尾に、この記事の生産記録を載せています。
TL;DR(結論)
- 何を試したか: 1つの実験記録(一次情報)を、AIがブログ・note・X・YouTubeへ切り口を変えて再編集する仕組みを作り、7日間運用した
- 結果: 記事2本公開・連載10話公開・動画14本完成(動画編集ソフトの起動0分・ナレーション費 約$0.19/本)。一方で機械検証と品質ゲートが公開前の不良を7件止め、止められなかった事故が1件起きた
- 誰に役立つか: ブログとSNSの多媒体発信をAIに任せたい人。特に「作る自動化」より先に「止める仕組み」を知りたい人
実験条件
| 項目 | 値 |
|---|---|
| 実施日 | 2026-08-12 〜 2026-08-18(7日間) |
| 使ったAI / ツール | Claude Code(原稿・検証・実装)/ Remotion+ElevenLabs Starter($6/月・動画系統1)/ Pillow+ffmpeg+macOS標準音声(動画系統2) |
| 費用 | ナレーション音声 約$0.19/本(実測・系統1)。ElevenLabs Starter $6/月の枠内。Claude Code等のAI利用は月額サブスクリプション内のため個別計上していない |
| 本人の稼働時間 | 未計測(計測表を作ったが記録が回らなかった。本文「うまくいかなかったこと」参照) |
| AIの処理時間 | 動画render=尺の約6割(実測。5分の動画なら約3分)。原稿生成側は未計測 |
| この仕組み由来の収益 | 未発生・未計測(反応の数字もまだ無い) |
| 環境 | macOS / WordPress(SWELL)/ note / X / YouTube |
やったこと(What I did)
仕組みの全体像
やっていることは単純で、「一次情報を1つ作り、そこからしか書かせない」です。
実験をやる(例: Webアプリを3日で公開する)
↓
実測値だけを master.md(一次情報)に固定する
↓
AIが媒体ごとに切り口を変えて再編集する
├─ ブログ …… 完全版。手順・実測・再現条件
├─ note …… 迷い・失敗・内省の一人称
├─ X …… 数字の断片と問いかけ
└─ YouTube … 時系列の物語(台本JSONから自動で動画に)
↓
機械検証と品質ゲートで「出せない状態」を止める
↓
僕が承認したものだけ公開する
運用ルールは4つだけです。
- 数字は一次情報からしか使わない(媒体側で新しい数字を作らせない)
- 媒体間で文章をコピペしない(切り口ごと変える。単純な使い回しにしない)
- 実測していないことを実測のように書かない
- 公開はリンク先が先に存在する順(ブログ → note → X → YouTube)
ルール2が機能しているかは、感覚ではなく機械で確認しています。note版とブログ版の本文を文単位で照合したところ、18字を超える文の完全一致は0件(重複率0.0%)でした。
数字は「1箇所」にしか置かない
一次情報のファイルは、たとえばこんな形をしています。
- 表現ルール(このテーマで断定してよいこと・いけないことを先に決める)
- 事実の一覧(数字は必ず「値+期間・条件」のセット。例: 「render時間は尺の約6割。78秒→48秒 / 226秒→137秒の2本で一致」)
- 事実と解釈の分離(意見は「意見」の節に隔離する)
- 出典の一覧(数字ごとに、どのログ・どの計測から来たかを書く)
媒体側の原稿は、このファイルに無い数字を書いてはいけない、というだけのルールです。地味ですが、これが無かった頃は同じ実験の数字が媒体ごとに食い違い、どれが正かを後から掘り返す作業が発生していました。数字の分岐は、発生してから直すより、発生させない方が圧倒的に安いです。
動画は「編集ソフトを使わない」
動画は2つの系統で作りました。どちらも共通しているのは、動画編集ソフトを一度も起動していないことです(14本すべて)。
| 系統1 | 系統2 | |
|---|---|---|
| 作った動画 | 解説動画1本(5分12秒・フルHD) | 長尺2本+縦型Shorts 9本 |
| 仕組み | 台本JSON → 検証 → AI音声 → 実測尺で設計図 → render → 出力検証 | 台本をビートに束ね → 静止フレーム生成 → 音声と結合 |
| ナレーション | ElevenLabs(有料プランの日本語音声) | macOS標準の合成音声(仮音声) |
| 音声の費用 | 1本 約$0.19(実測: 1,908字=957クレジット) | $0 |
| 公開できるか | できる | できない(仮音声のまま公開する経路を機械的に塞いである) |
系統1は、台本の文字数から尺を推測せず、音声を生成してから実測の長さで場面の尺を決めます。renderにかかる時間は動画の尺の約6割でした(78秒の動画に48秒、226秒の動画に137秒。2本で一致)。
ポイントは、出典が空だと生成自体が始まらないことです。台本JSONには出典欄が必須で、空なら検証で止まります。「何を根拠にこの動画を作ったか」を後から追えなくなるのを防ぐためです。
「止める側」の部品
作る仕組みより、止める仕組みの方が部品数は多くなりました。
- 入口検証(台本に出典が無ければ生成しない)
- 出口検証(壊れたMP4・音声欠落を公開工程に流さない)
- 仮音声ガード(無料プラン・仮音声の動画は公開準備が止まる)
- X投稿文の文字数実測(日本語は1文字=2重みで数える)
- Shortsの音声長と尺の整合検証
- note版とブログ版の重複率照合
- 品質ゲート2段(批判レビュー → 機械的な公開前検証。ブログ1本あたりの検証は102項目)
- 投稿前のアカウント確認
- 最後に、僕自身の承認
結果(Result)
7日間で工場から出てきたもの
| 出力 | 量 | 状態(8/18時点) |
|---|---|---|
| ブログ記事 | 2本(約6,850字+約11,400字) | 公開済み |
| note連載小説 | 10話+マガジン(計23,189字) | 公開済み |
| note記事(実験記録) | 2本 | 原稿完成・未投稿 |
| X投稿文 | 16本 | 原稿完成・投稿0 |
| YouTube動画 | 長尺3本+Shorts 9本 | 完成・公開0 |
| 検証用動画 | 2本 | 公開対象外(パイプラインの動作実証用) |
動画は検証用を含めて計14本です。
公開済みのブログ2本は、どちらも僕のサイトで読めます。3日でWebアプリを公開した記録と、海外の一人AIサービスを分解した記事です。この2本の「一次情報」から、note・X・動画の素材が派生しています。
費用の実測
動画の変動費は、ナレーション音声だけです。実測で1文字0.5クレジット、5分の解説動画1本が957クレジット=約$0.19でした。契約しているのは月$6のプランで、8月中旬時点の残量から数えると、同じ長さの動画をあと約38本作れる計算です。
つまり、月$6の枠内で週1本ペースの動画は余裕を持って回ります。renderの待ち時間も動画の尺の約6割(5分の動画で約3分)なので、量産のコストと時間は、もう制約ではありませんでした。制約は別の場所にありました。次の節の話です。
公開前に止まった不良は7件
量産より大事な数字がこちらです。機械検証と品質ゲートが、公開される前に実際に止めた不良が7件ありました。
- 記事のリードが予告する「6つのズレ」と、まとめ表の6項目が別の集合だった
- メタディスクリプションがユーザー数を「ゼロ」と断定していた(一次情報は「未計測」。記事内で矛盾)
- 本文の内部リンクが404だった(存在しないURLへ張っていた)
- X投稿文の4本が文字数上限を超えていた(日本語1文字=2重み。それまで一度も計測していなかった)
- Shorts 1本の台本が、尺より12.5秒長いまま初稿から放置されていた
- 動画台本に事実誤りが6箇所あった(「一人で運営」と書いていたが、実際は法人運営と判明。「一人で立ち上がった」へ修正)
- 副業の記事を、本業のアカウントから投稿しかけた(ログイン先の確認で発覚し、投稿自体を止めた)
どれも、公開後に見つかっていたら訂正記事や削除で信用を削るタイプの不良です。
うまくいかなかったこと(What failed)
事故: 「下書きのはずが、公開されていた」
note へ連載10話を一括搬入したときのことです。インポート機能には「下書きとして追加される」と明記があり、データ側にも下書き指定を入れていました。それでも、全10話が公開状態で取り込まれました。
AIは「下書きで入るので公開されません」と報告していて、その報告は誤りでした。結果として、僕が本文を1文字も読まないまま、連載10話が公開されました。
先に挙げた7件は「危険だと分かっていた工程」で止まった不良です。この事故は「安全だと思い込んでいた工程」で起きました。この差が、今回いちばん高くついた学びです。以後、インポートは「即公開される操作」として扱い、承認後にしか実行しない運用に変えました。
エディタへの直接入力は3通りに壊れた
その前段では、AIにnoteのエディタへ本文を直接打ち込ませて失敗しています。文字コードの取り違えで別の漢字が入る、全選択削除が効かず本文が2,503字から5,028字に膨れる、一括入力だと改行が段落にならない——の3連続でした。手打ちを禁止してインポート方式に切り替えた先で、上の事故に接続します。対策が次の事故の入口になった、という順序まで含めて記録しておきます。
出口が詰まっている
X投稿0本・YouTube公開0本の主因は、文章や動画ではなくアカウント側の整備です。X投稿は本業アカウントとの混在を止めた後、副業アカウントでのログインという「僕にしかできない作業」で止まっています。YouTubeはチャンネルの整備が未着手です。工場は動いても、出荷口は人間の鍵で閉まっている状態です。
なお、もしあなたがこの記事をXやYouTube経由で読んでいるなら、それはこの記事の公開と同時に、詰まっていた出荷口を開けたということです。その顛末は末尾の生産記録に書きます。
計測表が空欄のまま
本人稼働時間の計測表を作りましたが、7日間で1行も記録されませんでした。「計測の仕組みを作ること」と「計測が回ること」は別の問題で、後者はまだ解けていません。だからこの記事の実験条件にも、正直に「未計測」と書いています。
私の判断(My judgment)
続けます。ただし投資先を変えます。
生成の変動費は、動画1本のナレーション約$0.19という水準まで下がりました。この状況で「もっと速く作る」に投資しても、出荷口で詰まるだけです。次に効くのは止める側——検証・ゲート・アカウント確認・承認の設計です。
そして、人間(僕)に残る仕事は3つだと整理しました。
- 出す/出さないの判断(承認)
- 事実の最終確認(機械が拾えない不良は残る。別の実験の実測では、機械チェックの検出率は28件中11件・約39%でした)
- 鍵の管理(アカウント・ログイン・認証は人間の側に置く)
逆に言うと、この3つ以外は任せてよい、というのが7日間の結論です。
再現するには(Reproducibility)
僕の環境(macOS・WordPress・各アカウント運用)に依存する部分はありますが、つまずきポイントは共通だと思います。
- 一次情報のファイルを最初に作る。 媒体別の原稿から書き始めると、数字が媒体ごとに分岐して後から直せなくなります
- 「切り口を変える」はルールにするだけでなく測る。 重複率の機械照合を入れると、コピペ劣化を仕組みで防げます
- インポート系の機能は「即公開される」前提で扱う。「下書きで入る」という表示を信じて事故りました
- 投稿前のアカウント確認を手順に入れる。 複数アカウントを持っているなら、これが無いと必ずいつか混在します
- AI音声は公開前にプランの利用条件を確認する。 無料プランは商用公開に使えない場合があります。僕は有料プランであることをAPIで確認したうえで、公開経路に機械的なガードも入れています
- X投稿文は文字数を実測する。 日本語は1文字=2重みです。目視で数えても、まず気づけませんでした
次にやること(Next experiment)
- 詰まっている出荷口を開ける(Xアカウントのログイン・YouTubeチャンネルの整備。どちらも僕の作業)
- この記事群自体の反応を30日後に追記する(現時点で反応の数字は一切ありません)
- 本人稼働時間の計測を「作った」から「回る」に変える
この記事の生産記録
この記事自体が、記事中の仕組みから出てきた1本です。
| 項目 | 値 |
|---|---|
| 一次情報の確定から品質グート通過まで | 1セッション・約29分(AIの自走ループ。git記録 09:51→10:20) |
| 品質ゲートの差し戻し | 1回(①批判レビューで差し戻し→修正→GO。②機械検証は1回でPASS) |
| 併走して生成した媒体 | note版・X版・YouTube版の動画1本(動画の音声費 約$0.20・実測) |
| 動画の視覚検証 | 全12シーンをフレーム単位で確認し、表示不良3件を公開前に修正 |
| 僕がやったこと | 公開の承認1回(内容の確認を含む) |
| 公開できた媒体 | 4/4(この記事の公開と同じ日に、note・X・YouTubeの出荷口も開いた。動画はチャンネル初投稿) |
反応の数字と本人稼働時間は、公開30日後にまとめてここへ追記します。
この実験を追う
この仕組みは、AI Workflow の1本目として公開しています。実際に動かしているワークフローは、使わなくなったら「使わなくなった理由」ごと残す施針です。実験の一覧は Build / Experiment にあります。


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